スマ重ブログ

NoteBookLM介護施設での活用

2025年07月06日 15:25



高齢化が進む日本で、介護の現場ではたくさんの課題があります。職員が足りなかったり、たくさんの記録を書く必要があったり、利用者さんやそのご家族に、サービスについて丁寧に説明する時間が必要だったり…。

こんな状況だからこそ、デジタルの力を活用して仕事をもっとラクに、もっと良くしていくことが大切です。これは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼ばれていて、サービスの質を上げながら、日々の業務をもっとスムーズにするために、今すぐ取り組むべきことです。

この記事では、GoogleのAIサービス**「NotebookLM(ノートブック・エルエム)」が、どのように介護施設のDXを助け、利用者さんにも施設にも良い変化をもたらすのかを、具体的な使い方や、法律で決められていることなども含めてご紹介します。


NotebookLMってなに?



NotebookLMは、AI(人工知能)の力を使って、たくさんの書類から知りたい情報を素早く見つけたり、内容をギュッとまとめたり、新しいアイデアを出すのを手伝ってくれる「あなたの頼れる相棒」のようなサービス**です。

会議の資料や長いPDFなどをNotebookLMに読み込ませると、AIがその内容を整理・要約してくれます。さらに、チャット形式で質問すると、まるで人間が答えるように、すぐに答えを教えてくれます。しかも、その答えが元の文章のどこに書いてあるかまで示してくれるので、「これは本当の情報なんだな」と安心して使えます。メモも書けるので、自分だけの情報整理ノートとしても便利です。

介護施設でNotebookLMはどう役立つのか

1. 施設で働く職員さんの視点:大変な事務作業から解放されて、丁寧な説明ができるように



介護の職員さんは、利用者さんのお世話だけでなく、記録を書いたり、情報を伝えたり、問い合わせに対応したりと、直接的なケア以外の「事務作業」に追われています。NotebookLMは、こうした間接的な業務をスムーズにすることで、職員さんが利用者さんともっと向き合える時間を作ってくれます。



大切な説明書類の作成・説明を助ける


介護サービスを始める時、施設側は利用者さんやそのご家族に、サービスの詳しい内容や料金などを書いた「重要事項説明書(じゅうようじこうせつめいしょ)」を分かりやすく説明することが法律で決まっています**。この書類には、法律で使われる難しい言葉がたくさん出てきたり、内容も多岐にわたるので、誰にでもわかる簡単な言葉で説明することが求められます。

NotebookLMに、この重要事項説明書や関係するルール(施設をどう運営するかなど)を読み込ませておけば、職員さんは知りたいことをすぐに調べたり、説明に必要なポイントを効率よくまとめられます。これにより、複雑な内容でも自信を持って、利用者さんやそのご家族に丁寧に説明できるようになり、説明の質もスピードもアップします。

特に、介護サービスの料金や内容が変わった時(「介護報酬改定」など)には、もう一度説明して同意をもらう必要がありますが、NotebookLMはそういった変更点を理解したり、説明したりするのにも役立ちます。


施設内の仕事を効率化し、知識をみんなで共有する


施設内のルールや新しいプロジェクトの情報などをNotebookLMにまとめて、まるで「社内専用のAIチャットボット」のように活用すれば、職員さんからのよくある質問に答える時間を大幅に減らせます。これにより、情報システム担当など、もっと大切な仕事に時間を使えるようになった例もあります。

もしGoogleドキュメントをNotebookLMに読み込ませていた場合、元のドキュメントが更新されてもNotebookLMも簡単に最新の状態にできるので、いつも新しい情報を確認し、みんなで共有できるのが便利です。

NotebookLMは、特定の分野の知識をためておく「知識の宝庫」としても使えます。新しい職員さんが仕事を覚える時や、経験の浅い職員さんが質の高いサービスを提供するための「ノウハウ」をみんなで共有することにも役立ちます。



いろいろな専門家との連携や情報共有をスムーズに


介護サービスは、ケアマネジャーさん、介護士さん、お医者さん、看護師さん、薬剤師さんなど、たくさんの専門家が協力して行うことが不可欠です。NotebookLMの「チャットだけを共有する」機能(※有料プランのみ)を使えば、元々の書類を見せずに、チャットのやり取りだけを共有できるので、関係者間の情報共有がスムーズになり、もっと効率的なチームケアの実現を助けます。


2. 利用者さん(高齢者の方)やそのご家族の視点:安心感と納得感がアップ!


知りたい情報が手に入りやすく、施設の透明性が高まる


重要事項説明書など、難しく感じるかもしれない書類の内容が、職員さんによる分かりやすく正確な説明を通じて提示されることで、利用者さんやそのご家族は、提供されるサービスの内容、料金、契約の条件などをしっかり理解し、「これなら安心だ」と納得した上でサービスを選べます。これは、利用者さんとの誤解を防ぎ、施設への信頼感を育みます。

まるでAIチャットボットのように「面会時間は何時ですか?」「持っていくものは何がありますか?」といったよくある質問に、24時間いつでも自動で答える仕組みを作れば、ご家族は必要な情報をいつでも気軽に確認でき、安心感につながります。


質の高い介護を受けられる


職員さんが事務作業から解放され、より多くの時間を直接利用者さんのお世話に使えるようになることで、利用者さん一人ひとりへのきめ細やかな対応や、毎日の生活の質が上がることが期待できます。



法律の変更への対応と気をつけること



介護の業界では、デジタル化を進めるための法律の改正や国の取り組みが進んでいます。NotebookLMのようなツールは、こうした動きにぴったり合う可能性があります。

デジタル化の推進と法律への対応


2021年度(令和3年度)の介護報酬改定によって、事前に利用者さんなどの同意があれば、契約書や重要事項説明書などを電子データで扱うことが原則として認められるようになりました。また、2025年7月1日からは、重要事項説明書をウェブサイトに載せることが義務付けられます。NotebookLMは、こうしたデジタル化の流れに沿って、情報の管理や提供を効率化するのを助けてくれるでしょう。

情報の安全とプライバシーへの配慮


介護サービスで扱う情報は、利用者さんの健康状態や個人的な背景に関わる、とても大切な情報や医療情報です。NotebookLMを使う際には、施設内の「情報セキュリティのルール」を必ず確認して守り、個人情報が含まれる書類をNotebookLMで使うかどうかは、慎重に判断する必要があります。

ただし、NotebookLMに読み込ませた書類や、そこでのやり取りは、NotebookLMのAIモデルが「学習のため」に利用されることはないと明記されています。この点は、利用者さんのプライバシーを守る上で安心できるポイントです。


導入する際に考えること


NotebookLMはとても便利なツールですが、導入する際には次の点を考えることが大切です。

  • あくまで「サポートツール」と考える: AIは、人間の対応を完全に置き換えるものではありません。NotebookLMは、仕事を「80点まで手助けしてくれる」サポートツールとして捉えるのがおすすめです。利用者さんへの最後の判断や、「心ある介護」は、やはり人間の職員さんが行うべき、一番大切な仕事です。

  • 職員さんのITスキルと研修: 介護の職員さんのITスキルには個人差があることを考慮し、誰でも簡単に使えるようなシステムにすること、そして導入後のマニュアルをしっかり整備したり、研修を行ったりすることが、成功の鍵となります。

  • 他のシステムとの連携の可能性: 今のところ、NotebookLMには他の業務システムと連携するための「API(エーピーアイ)」という機能がない、という点は、もし将来的に他のシステムとつなげたいと考えている場合に覚えておくべきポイントです。



まとめ



NotebookLMは、介護現場のDXを力強く進め、職員さんの負担を減らして「心ある介護」に集中できる環境を作り出す大きな可能性を秘めています。特に、情報の収集、要約、質問への回答といった機能を活用することで、大変な事務作業を効率化し、利用者さんへの説明の質を上げ、そして施設内の知識をみんなで共有して、サービスの質を標準化することに貢献できるでしょう。

テクノロジーの進化を上手に活用し、「変えるべきこと」と「変えずに残すべきこと」を見極めながらDXを進めることで、介護サービスはこれからも長く続けられるものとなり、利用者さん一人ひとりの生活がもっと豊かになる未来が期待されます。ぜひ、NotebookLMを介護現場で気軽に試してみてはいかがでしょうか。